「戦後70年談話に関する有識者会議」の出した報告書について

『安倍首相が作成する戦後70年談話に関する有識者会議は6日、満州事変以後の日本の行動を「侵略」と明記し、無謀な戦争で多くの被害を与えたと指摘する内容で報告書を取りまとめた。』(ロイター)とのことだが、そもそも満州事変の前と後を切り離して日本帝国主義の所行を“評価”することなどできるのか?

ていうか、この報告書読むと、かなりヒドい内容。結局、欧米帝国主義への対抗上やむを得なかった、という言い訳満載。「侵略」への「反省」「おわび」なんてこれっぽちもない。

第1章「20世紀の世界と日本の歩みをどう考えるか。 20世紀の経験から汲むべき教訓は何か。」において、台湾併合は「よかったこと」として記述され、日韓併合には言及すらない(あとで二国間関係の中で言及があるが、「1930年代後半から過酷化した」とあるだけで、併合そのものに対する反省やおわびはない)。ましてや、琉球処分やアイヌ侵略についての言及は全くない。

また、文中にやたら「和解」という文言が目につくが、正直、「和解」というより、ヤクザの親分同士の「手打ち」といった印象しか残らない内容だ。

だから、結論的に、安倍がこの報告書を基に「侵略への反省・おわび」を表明することは考えにくい。あるとすれば、まさにそれは「政治的判断」つまり対米・対欧・対アジア(中国・韓国だけでなく)の配慮、本音むき出しでは外交的・内政的にマズイという、彼らなりの「配慮」がどのように働くか、彼らにそのような「配慮」を働かせるだけの状況を私たちが作り出せるか、ということになるのだろう。

それにしても、マスコミがこの報告書を『満州事変以後の日本の行動を「侵略」と明記し、無謀な戦争で多くの被害を与えたと指摘した』(ロイター)などとことさらに持ち上げて報じていることには、やや違和感を感じる。読売の社説や中曽根の談話についても同様だが、表向きの「反省」で反発をなだめつつ、本音は何ら変わりないという「二枚舌」にだまされないようにしなければならないと思う。



20世紀を振り返り21世紀の世界秩序と日本の役割を構想するための有識者懇談会(首相官邸:PDF)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/21c_koso/pdf/report.pdf

戦後70年談話の有識者報告、満州事変以後を「侵略」と明記(ロイター)
http://blogos.com/article/126866/

(社説)70年談話懇報告 首相も「侵略」を明確に認めよ(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20150806-OYT1T50109.html

 
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